空間のソムリエ Vol.21 ANTIQUES ANASTASIA(アンティーク アナスタシア)
カテゴリー: 空間のソムリエ
―時代を超えて愛されるアンティークとの暮らし―
北野と旧居留地を結ぶトアロード沿いの一角に、ポツンと立つ小さなビル。階段を上がり、扉を開けると、そこには優雅で重厚感のあるアールデコの世界が広がっています。アンティークウォッチや天然の宝石、1880~1920年代のイギリスやフランスの家具など、ここでしか手に入らない名品の数々。そして、たくさんのネコ…?
当時の流麗なデザインはもちろん、時を経て生まれる美しさや質感が魅力のアンティーク。「キレイじゃないものは置いていません」と店主が話す魅惑の品々に囲まれた空間では、総勢7匹のネコたちが棚の上でくつろいだり、窓辺で物思いに耽ったり…。それぞれが思い思いの時間を過ごしていました。店内に置いてある商品は、ディスプレイされたものも含めすべて販売されていますが、ネコたちだけは売り物ではありません、あしからず。
縦に長い小ぢんまりとした店内には、哲学書やジュエリー、陶磁器など、様々なものが並べられてあります。なかには、1700年代のヴェネツィアで印刷された楽譜なども。当時の聖歌隊が使っていた賛美歌の楽譜で、4本の譜線を用いたネウマ譜と呼ばれるものです。四角い音符がかわいらしく連なっている楽譜を眺めているだけで、頭の中にキレイな音色が聞こえてきそうじゃありませんか?歌詞の解読に挑戦してみるのも面白そうです。
これはエキゾチックな雰囲気たっぷりのモロッコランプ。アンティークではないそうですが、ランプシェードから生まれる光と影のバランスのなんとも美しいこと。寝室の間接照明にしてみたり、天井から吊るすタイプのランプで部屋の雰囲気をガラリと変えてみたりと、インテリアのイメージをぐっと広げてくれそうですね。
―本物の価値を知り、身につける喜びを―
さて、数あるアイテムのなかでもオススメしたいのが時計。こちらでは1940~50年代を中心としたヨーロッパ製の女性用アンティークウォッチを豊富に揃えています。現行品と比べ、同じものがもう無いという希少性の高さを思えば、アンティークウォッチの方がステキなもののようにも思えます。ただ、それだけにメーカーがなくなってしまっていたり、部品が手に入らなかったりと、壊れてしまえば直らないという面も。ですが、ご心配なく!こちらでは独自のルートで手に入れた予備のパーツを豊富に用意しているので、ほとんどの修理が可能なんだとか。精巧にできた昔の時計を修理できるとは、なかなか珍しいお店です。
写真は1960年代のアンティークウォッチ(3万9000円)。良質な機械式のため、当時は非常に高価だったそうです。なぜ高価だったか?優美なデザインのためだけではありません。その秘密は、裏蓋のなかにありました。
裏蓋を開けると、中にはたくさんの歯車や極小のパーツがぎっしり詰まっていました。顕微鏡でやっと大きさがハッキリと分かるような、細かな歯車の凹凸もすべて手作業によるもの。17JEWELSという文字が見えるでしょうか?これは17個の宝石を使っていますよ、という意味。中の機械のパーツが磨り減るのを防ぐため、硬い金属として知られるルビーが使われているのです。手作業で1年近くもの歳月をかけて作られていたため、とても高価な値が付いたのにも頷けます。これらは現在、数百万から何億という値がついているものと同じ造り、クオリティを誇っているのだとか!
―世界にたった1つだけの出会い―
1点ものという意味では宝石も同じ。宝石をピラミッドにたとえれば、頂点の部分のわずかな部分しか宝石としての輝きを持ちえません。不純物をカットし、磨きぬかれた宝石の輝き、色、形は、ひとつとして同じものがないといいます。「カタチでさえも一つ一つが持って生まれた運命なんです」と店主が言うように、宝石にも人間と同じく個性があるんですね。
こちらで扱っている宝石はすべてルース(裸石)と呼ばれるもの。美しくカットされているけれど、アクセサリーとして加工されていない石のことを言います。珍しいところでは、アンデシン、シンハライト、アイドクレーズ、そして本物のピンクトパーズ。本物の、とご紹介したのは、ピンクトパーズの鉱脈はもう尽きており、手ごろに販売されているものはカラーコーティングしているニセモノだからです。ここでは希少価値の高い、中までピンクの本物だけを扱っています。
気に入った宝石があれば、オーダーメイドでオリジナルジュエリーを作ることができます。枠代込みで2万円台前半からと、とてもリーズナブル。大金をかけずに、“オーダーメイドの1点もの”という最高の贅沢を手に入れられる喜びや楽しみが見つけられるんです。
とにもかくにも、多彩な商品をじっくりと見ているとキリがありません。そんな時には窓の外の緑を眺めながら、カフェスペースでお茶はいかがでしょうか。自分だけのジュエリーのデザインにじっくり思いを馳せたい時にもピッタリです。店主が愛情込めていれてくれるコーヒー、紅茶、ゆず茶でホッとひと息ついてくださいね。
気が向けば、愛らしいネコたちも接客に来てくれるかもしれません。(にゃあ!)
ANTIQUES ANASTASIA(アンティーク アナスタシア)
住所:神戸市中央区中山手通3-7-29 ヤンビル2F
電話:078-391-7323
営業時間:10:00~21:00
休み:無休
HP:http://antiquesanastasia.com/
